「ちょっと!黙ってないで何とか言いなさいよ!」
「ぷはぁーッ。苦しかった…。国分寺が黙っててって言うから…。」
「…。それでワンワン頷いてたってわけ?もう…。それで何でぷはぁーッ、なのよ?」
「なんか、黙ってなきゃって思ったら息まで止めちゃって。苦しかったぁ。死ぬかと思った。」
「ったく…。」
「でも、国分寺が私のパンフレット、気に入ってくれて嬉しかった。」
「そうね。あなたの新たな才能を感じたわ。」
「本当?これで就職もうまくいく?」
「それはあなたの努力次第ね。」
「…。」
「まずは、志望動機をアピールしなきゃ。で、琴未は旅行会社に入ってどんなことをしたいの?」
「うーん…。」
「例えば…。琴未が就職したときの姿を思い浮かべてみて。職場の琴未の姿。」
「何か、こっぴどく叱られている姿が見える…。さっきの国分寺みたいな厳しい女性の上司から。」
「何でもうそんなにネガティブな発想になっているのよ!もっとポジティブに考えて。あなたが作ったパンフレットを見て、お客さんが旅行に行って楽しんでいる姿を想像してみて。わくわくしない?」
「わくわくする。」
「でしょ?仕事ってそういうことでしょ?自分が人のために何かをして、それで喜んでいる人がいる。それをもっと考えてみて。」
「うん…。」


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